不動産小口化商品とは何か
不動産小口化商品とは、一つの不動産を複数の投資家で共有し、少額から投資できる仕組みのことです。これにより、個人でも好立地の大規模な不動産投資に参加できるようになり、資産運用の選択肢が広がります。
不動産小口化商品には不動産特定共同事業法に基づく「任意組合型・匿名組合型」と金融商品取引法に基づく「信託受益権型」があります。
不動産特定共同事業法とは
不動産特定共同事業法とは、複数の投資家から資金を募り、その出資金をもとに不動産を取得・運用し、得られた収益を分配する事業を適切に運営するための法律です。1995年に投資家保護を目的として施行された法律であり、以降数回の法改正をしながら、倒産隔離型スキームの導入、中小規模事業者の参入の易化やクラウドファンディングの環境整備など、よりよい事業法へと発展してきました。
この制度により、個人投資家でも大規模な不動産案件に参加しやすくなり、安定した資産運用の選択肢が広がっています。
匿名組合型と任意組合型
不動産特定共同事業には主に「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類があります。
- 匿名組合型:投資家は金銭で事業者へ出資を行い、事業者が事業を行ったことで発生する収益を配当として受け取る形式。1口数万円など少額からの投資や数か月単位など短期の運用が多いことが特徴です。
- 任意組合型:投資家が金銭出資もしくは現物出資をし、物件の持分を共有する形式です。1口100万以上、そして10年以上など長期運用の商品が多く、また不動産の所有権を持つため、相続・贈与時の評価は相続税法上の評価になることが特徴です。
「不動産信託受益権型」の不動産小口化商品とは
不動産信託受益権とは不動産を信託会社に信託し、その不動産から得られる利益(賃料収入や売却益)を受け取ることができる権利のことを言います。
「不動産信託受益権型」の不動産小口化商品とは、この権利を小口化し、投資しやすくしたものです。不動産の所有権は受託者となる信託会社が有しますが、収益は受益者である投資家に帰属します。
そのため不動産特定共同事業と違うメリットとして倒産リスクから隔離されるという点が挙げられます。信託された財産の名義は、委託者から受託者に変更されますが、信託による倒産隔離規定が適用されるため、受託者が倒産しても差し押さえの対象にはなりません。
不動産小口化商品のメリットとリスク
不動産小口化商品には、多くのメリットがありますが、リスクも伴います。投資を検討する際には、メリットとリスクの両面を理解し、慎重に判断することが重要です。
不動産小口化商品のメリット
-
好立地の一棟不動産に少額から投資ができる
通常、個人では購入が難しい都心の一等地にある収益不動産を不動産小口化商品として、数百万円から投資することが可能です。 -
管理運営の手間なし
物件の管理・運営は事業者が行うため、投資家は手間をかけずに賃料収入を受け取ることができます。面倒なテナント対応や修繕の手続きも不要です。管理運営の状況は年に一回送付される財産管理報告書等にて確認することができます。 -
相続・承継対策に有効活用ができる
不動産を小口で所有することで、相続対策として有効に活用できます。相続・贈与時には分割がしやすく、また相続時の評価額は相続税法上の評価額となります。 -
リスク分散
複数の不動産小口化商品に分散投資することで、特定の物件リスクを軽減できます。また商品ごとにエリアを分けることで、災害時のリスクも軽減できます。
不動産小口化商品のリスク/デメリット
-
元本保証ではない
不動産小口化商品は収益源は現物不動産であるため、不動産価格の変動により、出資金の元本は変動します。市場環境の影響を受ける点には注意が必要であり、物件の選定や事業者の運営力を確認することが求められます。 -
自己資金で購入しなければならない
不動産小口化商品は、通常、金融機関の融資を利用できず、自己資金のみでの購入が必要です。 -
流動性が低い
不動産小口化商品は、一般的に株式などの金融商品と比較し、途中売却は買い手を見つける相対取引になるため、流動性が低いというデメリットがあります。中には中途解約ができない商品もあるため、購入前に確認が必要です。
不動産小口化商品と他商品の比較
不動産小口化商品は、実物不動産やREIT(不動産投資信託)とどのように違うのでしょうか? それぞれの特徴を比較し、自分に合った投資方法を選びましょう。
実物不動産とREITと不動産小口化商品の比較
| 実物不動産 | 不動産小口化商品 | REIT | |
|---|---|---|---|
| 投資額 | 数千万円~数億円以上 | 1口数万円~ | 1口数万円~ |
| 換金方法 | 不動産仲介会社が買主を探索 (相対取引) |
事業者が買主を探索(※) (相対取引) |
市場売却 |
| 価格市場 | 短絡的な変動は小さい | 短絡的な変動は小さい | 短絡的に乱高下 |
| 管理運営面 | 煩わしい | 手間要らず | 手間要らず |
| 複数人への 相続/贈与 |
共有持分となり、相続後の単独での売却が困難になる可能性 | 有効 (数口ずつ相続/贈与可) |
有効 (数口ずつ相続/贈与可) |
| 相続・贈与時 評価 |
相続税法上の評価 | 相続税法上の評価 | 時価 |
| 損失の損益通算 | 可 | 不可 | 可 |
※事業者が買主を見つけることを保証するものではありません。
それぞれの投資商品の特性を理解し、自身の投資目的に合った選択をすることが重要です。